メンバーの自発的な行動が原動力となるNPO団体は、多いかと思います.そのためには「共感」と「行動」の結びつきが大切となりますが、そもそも同じ部屋に集まる機会があまりありません.そんな貴重な場で、「プレゼンする」「聞いて質問をする」という関係だけで終わるのは、物足りなく感じます.
さて、4月にTokyo Art Beatの運営母体、NPO法人GADAGOの総会が開催されました.
GADAGOの総会は、とにかく議題が多くて長時間になりがちです.また、十数人がテーブルを囲むので、一人ひとりの話す時間がどうしても短くなってしまうし、話す人と聞く人に別れてしまうこともあります.しかし、総会のような場で「全員でブレストしよう!」というのはまとまりがつきませんし、「グループに別れて話しあおう」というのは何となく研修っぽくて楽しくありません.
今回は思い切って、「アンカンファレンス」という形式を取ってみました.コンセプト自体は新しいものではありませんが、NPOの総会で使っているところは少ないかと思うので、ここで紹介しようと思います.
はてなキーワードは、「アンカンファレンス」をこのように定義しています:
講演内容や発表者が当日まで決まっておらず、来場者が自分の話したい内容を発表する、参加者が全員でつくりあげるカンファレンス。発表者したい人は当日受付で申し込みを行う。
アンカファレンス形式の利点はいろいろあります.
まずは全員集まって、挨拶と流れの説明をします
全体の流れは、以下の通りです
1回開催しただけなので未熟者ですが、知っておくと役立つポイントをいくつか紹介します.
アンカンファレンスの主役は、参加者とホワイトボードです
日程調整や出欠を取る段階から、一人ひとりが主体ですよ、というような告知をしましょう.「とりあえず来る」という態度ではダメです.日頃から考えていることは必ずあるはずです.また、自由にトピックスを持ち寄ると言っても、どうしても話しあっておきたい議題はあるものです.事前に、適任者と連絡を取って、依頼しておきましょう.
アンカンファレンスに限った話しではありませんが、グループワークとは経験者をほどよく投入すると上手くまわりやすいです.
人がワラワラと集まってこられる場所に置きましょう.また、アンカンファレンスのブレーク中や終わった後に、自然と2−3人の立ち話が発生します.その邪魔になってはいけません.
テーブルではないスペースも、案外大事です.↑ソファスペース
例えば、「TABパーティーのプランニング」と言ったように具体的なプロジェクトの企画のセッション、「TABlogの今後の運用」と現状抱えている課題の解決を話しあうセッション、「TABに一億円があったら」というような青空トークをするセッションなど、いろいろな角度から話し合いの場を持つと、メリハリがついて盛り上がります.
美味しい食べ物も大事だし、タイミングも大事です.切りの良いところでだしましょう.今回は、サンドイッチをケータリングしました.持ち歩きやすくて、自由に取れるのでオススメです.1回目と2回目のセッションの間にホワイトボード近くのテーブルに並べておいて、2回目のセッションに持っていってもらいました.
ミーテイングルームにて
初めてアンカンファレンス形式を取り入れたイベントに参加したのは、2010年にサンチアゴで開催されたGlobal Voicesのサミットでした.帰国後、その会議形態の本家であるBarcampが開かれることを知って、5月29日のTokyo Barcampに出掛けていきました.
最初の全体会で「初Barcampの人は、セッションを持たなくてはいけないというルールがあるんだよ」という少し冗談交じりの本気なルールが繰り返しアピールされました.いくつかセッションに参加した後、何となくその気になってしまい、付箋紙を貼って、誰かが来てくれたことにものすごく感謝をしながら、1時間程度のセッションを開催したものです.不特定多数の見知らぬ人の前で話すことは滅多になかったし、プレゼン資料無しのアドリブ&ファシリテーションは初めてでした.率先して手を挙げて、とても楽しくやり遂げられたことを受けて、純粋にアンカンファレンスの力に感動しました.
この出来事がカタリストとなって、2010年秋からはAQでも自社イベントをオーガナイズするようになったし、2011年に入ってからは、さまざまなイベントでお話しさせていただく機会もボチボチと出てきました.アンカンファレンスのおかげで、すっかりとまでは行かないものの人前で話すことに対する恐怖心は確実に減りました.
こういった形式のイベントを開催したことありますか?ぜひ@aq_jpへ教えてください!