AQが初めてイベントを企画することが決まり、当然のごとく日本語と英語の両オーディエンスに向けて企画を始めました。問題は、どうやってそれを実現するか、でした。
外国語で催されるイベントに参加したことのある人なら誰でも、質の悪い通訳によってイベントが台無しになっていた、という経験があるでしょう。通常、その責任は通訳者のスキル不足にあるとされがちですが、実はそれはオーガナイザー、スピーカー、通訳者間のコミュニケーション不足の結果だと考えます。
小規模のイベントにおいては、有能な同時通訳者を探して、雇い、準備するだけのリソースが足りないケースも多々あります。一緒に準備できるスキルを持つスタッフを内部に抱えていたとしても、やはりコストはかなり掛かるものです。
そこで私たちがしたことは・・・
今回のイベントは、まず英語のスピーカーによるトーク、次いでQ&Aセッションという構成でした。試行錯誤を重ねた結果、私たちが行き着いた方策は以下の通りです:
ここでキーとなるのは、いかに無理のないバイリンガル環境を作るかです。完璧ではなく、あくまで「無理のない」バイリンガル。.
詳細は以下の通り:
1. 司会は完璧なバイリンガル
バイリンガル・イベントに司会のMCを使うという例はよくありますが、今回は1人の司会に両言語を話してもらいました。それによって観客全員が1人のホストに集中できるので、そこに一体感が生まれます。また、同じ人が続けて話すことになるため、第二言語の部分があまり翻訳っぽく聞こえないのです。
2. トークは英語で、話すスピードは通常よりゆっくり目に
英語のネイティブ・スピーカーにとってこれは難しいかもしれませんが、冒頭部分でその旨を両言語で明確に伝えておけば、スピーカーも、そして観客もやり易いでしょう。
3. プロジェクターを2台使用し、英語と日本語のスライドショーを隣同士で見せる
言語の違いのせいで観客を物理的に分離したくはありません。そこでこの方法を採用すれば、みなそれぞれ座りたい場所に、しかも同じ向きで座ることが出来ます。また、スピーカーは話しながら両方のスライドを指し示すことが可能なので、両言語間に、どちらがメインでどちらがサブといった関係も生まれません。
今振り返ってみて、日本語のスライドにもう少し説明を加えれば、より分かり易くなったと思います。スピーカーとのリハーサルをもっとしっかりして、彼が使わないほうの言語(この場合は日本語)のスライドにより詳しい情報を追加できれば良かったでしょう。
4. Q&Aセッションのみ逐次通訳つきで
これについては、通常の逐次通訳を採用せざるを得ませんでした。Q&Aはもともと複数の人がやり取りをする場なので、逐次通訳もトークのときほど耳障りにはなりませんが、改善の余地はあるはずです。何かいい案はありますか?
5. 全てのサインを二カ国語対応にし、情報の量と質も同等に
50人足らずの人が参加するような小規模なイベントにも、いくつかのサインが必要になってきます。会場までの行き方、出される飲食物に関する情報、そしてイベントのタイトルが記載されたポスターに至るまで、全てが同じ量の情報を同じサイズで提供すべきです。
6. スタッフは両言語に慣れ親しんだ者のみで構成
受付担当のスタッフは特に。
この方策は、今後も使っていくべき成功例と言えるでしょうか?それはどうか分かりませんが、上手くいったとは思いますし、完成型に近いのではないでしょうか。
では、どのようにここまで到達したか:
それはPart 2でお届けします!この方策に辿り着くまでに行った、すごい実験の数々をご紹介します。