日本人デザイナーにとって、時に欧文書体の選択は難しいものです。書体の持つ、微妙なニュアンスや文化的背景が掴みにくく、「Helvetica」や「Garamond」といった古い付き合いの書体から離れられなかったり、真意とは異なる意味を含む書体を選んでしまったりするのです。

ところで、毎年何千もの欧文書体がリリースされていることをご存知ですか。このシリーズでは、現代の世界中のタイプデザイナーによってつくられた、上質かつ多様に使える優れた書体をご紹介していきます。

どのような人が、何を思ってこれらの書体をデザインしたのか、知りたいと思いませんか。


Xtra Sans (2006)

Jarno Lukkarila
Jarno Lukkarila Type Foundry
フィンランド、ヘルシンキ

ポイント
  • 柔らかさがあり、すっきりとクールな印象
  • 見出しのように大きく使うときはユニークな形が際立ち見栄えがするし、本文として使っても読みやすい
  • カウンターの形がカリグラフィーの特徴をヒントにしているので、文字を組んだときに流れがでる
  • セット幅が狭めなので、たくさんの文字を入れることができる

この書体を作るにあたってのインスピレーションは何でしたか?

大きく2つの方向からインスピレーションを得ました。20世紀初頭のヨーロッパでできたサンセリフ書体に興味があります。それらの多くはとてもエレガントに簡略化されることで、強い印象を持ったデザインになっています。また、中世(特にゴシックの)ヨーロッパの手書きの書体が持つ細かいけれど厳格な風貌にもとても惹かれます。グラフィックとしてはその2つは全然違った方向なのですが、どこかで共通の視覚的価値があるのではと思いました。私は自分のデザインの中で、これらを上手く統合しようと試みました。

この書体はタイポグラフィーの歴史への理解と敬愛から生み出されたかのように見受けられるのですが、デザイナーが「Xtra
Sans」を選ぶ際に、歴史を理解していることはどれほど重要ですか? プロジェクトとしていいデザインになればそれでいいとお考えですか?


そうですね。いいんじゃないですか。「Xtra Sans」を使う上で、手書き書体やタイポグラフィーについてを理解する必要は無いと思います。私は歴史からインスピレーションを得て、それを何か新しいもの、何かエキサイティングなものに変換したいと試みました。私はただ、「Xtra Sans」を見たデザイナーや読者に、単純にかっこいいと思ってもらえればいいのです。

「Xtra Sans」の理想的な使い方はどのようなものですか?

雑誌や新聞がいいと思います。というのも、「Xtra Sans」がフレンドリーな雰囲気を持ちながらも、明瞭な形状をもっているからです。ロゴ、標識、見出しなど、大きなサイズで使われたときに、この書体独特のディテールによってそのテキストに注意を向けさせる力を持っていると思います。

「Xtra Sans」で一番気に入っている文字はどれですか?

小文字、大文字両方の「o」を挙げたいと思います。通常の「o」の形状との違いが、書体に大きく新しいエネルギーを与えていると思います。また他の全ての文字にも同じアイデアを入れています。この書体全体を通して、手書きの書体独特の角ばりを見つけることができると思います。

好きな書体はありますか? もしくはあなたに強く影響を与えているものは? またそれはどうしてですか?

古い書体の中にはとても面白いものがたくさんあります。その中の一つに、Hans Eduard Meierによって60年代後半にデザインされた「Syntax」があります。スイス独特のまじめさを持ちながらも、ラインに人間味を感じます。

翻訳:藤高晃右